BANZAI JAPAN(バンザイジャパン)

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⚠️注意⚠️このお話はフィクションです。

皆さんこんばんざい!
千葉県伝道師 菜花まりあです🐑

自粛期間に入ってからみんなと会えなくなってすごく寂しい( ; . ; )
みんなと会える日が早く来て欲しいなって願って過ごしてます

さて、先日3回目の47時間配信がありました!
そこで個人企画としてメンバーが登場人物の小説を書いたのですが、配信中に書いていたメンバーの新潟県の伝道師 笹川ささちゃんの小説が書けたのでこちらにあげたいと思います

⚠️注意⚠️
このお話はフィクションです。
まりあの趣味の延長の作品なので温かい目で見てください。

それはとある暑い夏の日のこと。

「今日もあついなぁ・・・」

笹川ささは持っていたお気に入りのタオルで汗を拭った。
ショートカットの髪が風でふわりと揺れる。

「あ、そうだ。今日のセトリもう一回確認しておこう」

人通りの少ない道は歩きスマホの罪悪感を少しばかり軽減してくれる。
笹川はスマホでトークアプリを開くと、送られてきていたセットリストを確認し始めた。
スニーカーが軽快にアスファルトをたたく。
そう。この時はまだ笹川は知らなかったのだ。

世界滅亡の危機が迫っていることに。

新宿駅の見慣れた場所。
共有された集合場所にはすでにメンバーが何人かそろっていた。
小走りでそちらに向かうとBANZAIJAPANのリーダー、安原めいが声をかけてきた。

「ささおはよう!」

「めいちゃん!おはよう」

「今日も暑いね~」

苦笑いを浮かべる彼女のポニーテールが声とともにゆらりと揺れる。
笹川もそうだね、と返すとスマホを何の気なしに開いた。
現れるのは見慣れたホーム画面、のはずだった。

「・・・ん?」

そこに表示されていたのは真っ赤な画面。
吸い込まれるような深い紅が画面を染め上げていた。

(なにこれ・・・)

変なサイトでも誤って開いてしまったか。
そう思いボタンや画面に触れても変わらず画面はただ紅を写している。
その気味の悪さに笹川の顔が小さく歪んだ。

「ささどうしたの?なんかあった?」

突然険しい顔でスマホの画面を凝視し始めた笹川に、グループのムードメーカーである藤崎ふみが声をかけてきた。
笹川は戸惑いながらスマホの画面をふみに見せる。

「なんか急に画面が真っ赤になって動かなくなっちゃった」

「え?・・・画面?」

画面を見つめるふみの顔は明らかに困惑している。
スマホの画面と笹川の顔を交互に見やり、そっと笹川のスマホに触れて何かを悩むような仕草の後に、笹川を見つめ口を開く。

「あのさ・・・画面、真っ暗だよ」

「・・・え?」

その言葉に自分の目を疑いスマホを見るが変わらず画面は紅を写している。
ささの言ったこと信じてないわけじゃないよ。
そう付け足した彼女は心配そうな顔で笹川のことを見る。

「ささ体調悪いんじゃない?大丈夫?」

「・・・大丈夫。ほら、見間違えだったかも!」

笹川は誤魔化すように笑いながらスマホをズボンのポケットにしまった。
自分だけにしか見えないのかもしれない。
結論として非現実的ではあるが、その答えが一番しっくりきた。
ふみに心配かけてごめんと声をかけ、端の方に移動する。
しまったスマホをもう一度こっそり取り出し画面を見れば、そこには先程にはなかった黒い文字が浮かび上がっていた。
ノイズが幾度となく走る。

『Tonight, destroy the whole world from the people around you. If you want to save the world or your loved people, remember your true identity.』

突然表示された英語の羅列に一瞬困惑するが、笹川は持ち前の頭脳でスラスラ読み解いていく。
そこに記されていた文章はいたずらの一種のような現実味のないものだった。

(どういうこと?世界を滅ぼす?本当の姿を思い出せって・・・っ!?)

『本当の姿を思い出せ』
覚えがないはずのその言葉にどくりと心臓が脈打つ。
まるで何かを急かすかのように早まる鼓動に息が上がりかけた、その時。

「ささ」

耳に馴染んだ優しい声とともに、白い手が笹川の背中に触れた。
規則正しいリズムで背中を叩かれ、上がっていた呼吸が落ち着いていく。
小さく息をついて顔を上げれば、メンバーの皆戸理芳が笹川を見つめていた。

「落ち着いた?大丈夫?」

「うん・・もう平気。ありがとう」

「良かった。ささ平気だって」

皆戸の後ろで笹川の様子を心配そうに伺っていたメンバーが安堵の表情を浮かべる。
いつの間にかメンバーが全員揃っていたようだ。
待たせてしまったことに謝罪をすれば、口々に気にしてないよ、ライブいける?と気遣う言葉で埋め尽くされる。

「じゃあ会場行こっか。ささはなんかあったらすぐ言って」

安原の声がかかりメンバーが歩き出す。
笹川はありがとうとその背中に声をかけ、列の後ろについた。
会場までの道のりを他愛のない会話をしながら歩くメンバーの後ろ姿を見つめながら、笹川は先刻のことをぼんやりと考える。

(さっきのは何だったんだろう。何かが引きずり出されるような感覚。何かを思い出すような・・・もしかして私は、忘れちゃいけないことを忘れてる・・・?)

笹川は歩みを進めつつ思考の海に足を浸す。
返事のない自問を頭の中で繰り返しながら、記憶をひとつひとつ探っていく。
幼少期、小学生、中学生、高校生・・・

「・・・あ」

そうして見つけたピースの欠けた場所。
高校を卒業してからBANZAIJAPANに入るまでの記憶がぽっかりと抜けていた。
ここだ。ここを思い出せば、本当の姿を思い出せる。早く、早く思い出して。

「皆を、世界を救うんだ・・・!」

記されていたタイムリミットは今夜。笹川の周りに人が多く集まる時間帯はおそらくあと2時間後に始まるライブの時間。時間がない。
そこからの笹川の行動は早かった。
ライブハウスの楽屋に荷物を置き、メンバーには知人からの大事な電話が入ったと誤魔化しながら外に出る。
仕舞っていたスマホを取り出し、メッセージの消滅とともに落とされた電源を入れ、過去のデータが残っていそうなアプリを開き、隅々まで見て情報を探した。
画像はもちろん、音声や動画なども残っていない。ファイルにも身に覚えのないものは見当たらなかった。

「どうしよう・・・時間がない」

焦りを覚えた笹川の耳に、ふとどこからか微かな声が届いた。
機械で処理された幼い少女の声だった。

『・・・鍵。鍵を見つけて』

「鍵・・・?あっ!」

鍵。その言葉で笹川は何かに気がつき、急いでスマホの画面に向き直る。
アプリの一覧の中に小さな鍵がアイコンになったアプリが紛れていた。

「あった!これだ!」

今まで気にすることもなかったアイコンに触れる。
すぐさまパスワードを求められ笹川は躊躇した。だが。

「え、なんで!?」

意識とは別に指が勝手に長いパスワードを打ち込んでいく。
打ち込まれたパスワードには微かに見覚えがあった。
パスワードを打ち終わった指はぴたりと止まり、笹川に確定ボタンを押す主導権を与えるかのように笹川の意思の元へと戻った。
手が震えるのは思い出すことへの恐怖からか、それとも喜びからか。
笹川は震える指を叱咤し

「・・・っ思い出せ!」

確定ボタンを押した。

表示された文書に綴られた文字。脳裏に雪崩のごとく流れ込む記憶。
ぱきり、と何かが割れるような音がした。

「・・・は、はは・・・思い出した・・・なんで忘れてたんだろう」

強く握られたスマホに映し出された『指令』と『暗殺』の文字。
アイドルグループBANZAIJAPANのメンバーの笹川ささは、日本の情報機関に秘密裏に雇われた『忍者』だった。
とある事件で記憶を失うまでは。
ぼろぼろと涙が頬を転がり落ちていく。
数年前から止まっていた指令の一番上には今日の日付の新たな指令がはいっていた。
指令に記された時間はBANZAIJAPANのライブの時間。

「ちょうどライブの時間・・・」

今日のフォーメーションは全曲13人、穴は開けられない。でも指令を無視すればメンバーやファンの人の命が危ない。
リスクは高くなるがどちらも実行するしかなかった。

(敵は客席にいるはず。だとしたら、昔培ったものが生かせるかもしれない!)

守りたいものがある。大好きなメンバーや携わる人、応援してくれるファンの人たち。
その人達が住む世界。

「全部守る。守ってみせる!」

笹川は頬に流れていた涙をぐいと拭い、仲間の元へと駆けだした。

オープニングSEが会場に流れる。
笹川はメンバーと共にステージに上がると、瞬時に会場内を確認した。
この場にそぐわない空気を纏う物がそこら中に鎮座している。
対象が分かりやすいことはいいことだが、数が多い。

(冷静に対処していくしかない・・・か)

メンバーにもファンにもばれないように殲滅していく。
難易度も己の危険性も上がるがやるしかない。
アップテンポな1曲目のリズムに合わせ扇子を振る動きと共に小さな針を相手の眉間に飛ばす。
突き刺さった相手はそのまま崩れるように霧散していった。

(人間じゃない!?ということは異界の物の類・・・?)

どちらにせよ脅威であることに変わりはない。
笹川は自身のラップパートに合わせて扇子に仕込んだ弦を引いて弓を放つ。

「夢見る少女は止まらず進むぜ!!」

そのパフォーマンスに思わせる自然な動きで敵の目をも奪い倒していく。
2曲目の曲は激しいダンスと途中にリフトが組み込まれたことでファンからの人気を得ている曲。
笹川はフォーメーション移動でファンを背後から襲おうとしていた敵に苦無を、リフトの終わり際の自分への視線が逸れたところで手裏剣を数人の額に投げ込んだ。
最後の曲は客席に飛び込む。何人かのメンバーと客席にいるファンをさらに盛り上げていく。
そう。表面上では。
衣装に仕込んでおいた小刀で残った敵の急所を切り裂いていく。
風のごとく流れるような動きで的確に相手の死角に潜り込みとどめを刺していくが、残り一人というところでファンの一人と視線がぶつかった。

(しまった・・・!)

隙が生まれたことにより敵が笹川の視界から消え、首筋に冷たくとがった物が押し当てられた。
皮膚を薄く切られる感覚。もうだめだ。そう思ったときだった。
突然敵が声を上げて崩れ去り、手裏剣が小さな音を立てて落ちた。
笹川の持つ物とは違う型の手裏剣。
手にとって立ち上がり辺りを見回すがメンバーとファン以外はフロアにいなかった。
呆然と立ち尽くす笹川にメンバーがステージの上から声を飛ばす。
いつの間にか会場にはエンディング曲が流れていた。

「ささ!?曲終わったよ!もうMC!」

「なんか見ちゃった?も、もしかしておば「きゃーーー!やだ!こここれなくなるから言わないで!」あゆちゃんうるさい!」

メンバーのやりとりを聞いてファンの人達が笑いながら笹川を見る。
メンバーも笑いながら笹川を見つめた。
皆戸が笹川に手を伸ばす。

「ささ、早くおいで」

笹川は小さく笑うと手裏剣をそっと仕舞ってその手を取った。

「ええ、そうですね。復帰テストは概ね合格と言っていいでしょう。それにしても世界滅亡なんて大げさな・・・まあ確かに彼女は生半可な理由ではあそこまで思い出そうとすることもなかったでしょうけど・・・え?どうしてアイドルなんて?何をおっしゃってるんですか。私だって表向きはアイドルですよ?」

真夜中の暗い路地裏にからからと明るい声が響く。
薄汚い路地裏に不釣り合いな白いワンピースが風でふわりとなびいた。

「はい。・・・ではその通りに」

流れるような仕草で通話を切り、スマホを見つめる。
画面に写っているのはつい先程撮った2ショット。

(行方をくらませていた笹川ささが後輩としてBANZAIJAPANに加入すると聞いたときはびっくりしたな・・・まあそのおかげで近づくことも難しくなかったんだけど)

くすくすと笑う女性の白い手には手裏剣がひとつ。
彼女は画面の中の笑顔の笹川に視線を移し口元を緩める。

「こっちの世界では私の方が後輩だけど・・・これからも一緒に頑張ろうね、ささ」

そう小さく呟き、皆戸理芳はにっこりと笑った。

見てくださりありがとうございました🙇‍♀️

文章力もっと上げて次はメンバー全員それぞれ主人公の小説を書きたいなぁって思ってます(´ω`)
ここまで読んでくださりありがとうございました!
またね_( ´ ω `_)⌒)_

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